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憲法 統治 (H11-26改題)


我が国の財政に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。


1 予算の提出権は内閣にのみ属するので、国会議員は、予算を伴う法律案を提出することはできない。

2 国会の議決を得た予備費の支出は内閣の責任においてなされ、内閣は、すべての予備費の支出について、事後に国会に報告する義務を負う。

3 法律で国費の支出を要する行為が定められている場合であっても、それらの行為に伴って国費を支出するには、国会の議決に基づくことを必要とする。

4 会計検査院は、毎年国の収入支出の決算を検査し、次の年度に決算の検査報告とともに、決算を国会に提出しなければならない。

5 宗教上の組織又は団体の使用、便益又は維持のために、公金その他の公の財産を支出し、又はその利用に供してはならないが、公の支配に属しない慈善事業に対しては、公金その他の公の財産を支出し、又はその利用に供することができる。


解答 1 


(肢1) 誤

予算の作成は、内閣の専権事項ですが(73条5号)、予算を執行するためには法律を国会で成立させなければなりません。

ですから、この法律案が、予算を執行させるためのものであっても、立法府の一員である国会議員は、法案提出権を有するのは当たり前です。ただ、通常法律案というのは、内閣が提出しており、議員立法というのは、例が少ないのです。

よって、誤りですね。


(肢2) 誤

不測の事態による予算不足に対処するため、国会の議決により予備費の制度を設けています。

そして、事後的であっても、国会による民主的コントロールを及ぼすため、すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならないと規定されています。

ですから、国会に報告する義務を負うわけではありません。

国会の議決→予備費の設定→予備費の支出→国会の承諾という流れを押さえておきましょう。

よって、誤りですね。


(肢3) 正

国費の支出というのは、国民の税金の支出ということですから、税金が何に使用されるのかについて、国会の監視がなければなりません。

ですから、国費の支出には、必ず国会の議決が必要なのです(85条)。

よって、正しいですね。


(肢4) 誤

会計検査院とは、国の財政の執行を監視・検査する合議体であり、その役割は、決算の検査です。

国会に決算の報告とともに決算の提出をしなければならないのは、内閣の役割です。混同しないように注意をしましょう。よって、誤りですね。


(肢5) 誤

「公の支配」とは、国または地方公共団体の一定の監督が及んでいることをいいます。

公金や公の財産は国民の税金なので、このような公金等が濫用されることを防止するために、「公の支配に属しない慈善事業など」に公金等が使用されないようにしているのです(89条後段)。

例えば、NPO法人などは、市民のためのボランティア活動などをしており、公の支配に属する慈善事業団体なので、各種助成金、補助金等の融資を受けやすくなっています。

このような団体以外に対して、税金を利用されることを防止しているのです。

よって、誤りですね。




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