WEB練習問題(リニューアル中) > 民法過去問(改正未対応 > 民法 債権 > 民法 債権 (H11-29)

民法 債権  (H11-29)


いわゆる債権者取消権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


1 債権者取消権は、裁判上行使し得るだけでなく、裁判外でも行使し得る。

2 財産権を目的としない法律行為は、原則として債権者取消権の行使の対象とならないが、相続の放棄は、例外として債権者取消権の行使の対象となる。

3 特定物の引渡しを目的とする債権を有する者も、目的物の処分により債務者が無資力となった場合には、債権者取消権を行使し得る。

4 債権者取消権の行使による効力は、当該債権者取消権を行使した債権者のみの利益のために生ずる。

5 債権者取消権は、取消しの対象となる法律行為があったときから2年間行使しないときは、時効により消滅する。



解答 3


1 誤

債権者取消権の行使は、契約の取消という債務者と受益者の法律関係の変動をもたらすもので、その干渉の度合いが大きく、多大な不利益を与えてしまう。

それゆえ、裁判所で公正かつ慎重に判断してもらう必要があるので、債権者取消権は、必ず裁判上で行使しなければならない。

2 誤

詐害行為は、財産権を目的とする法律行為でなければならず、身分行為は取消の目的とならない。

相続放棄は身分行為なので債権者取消権の行使の対象とならない。

3 正

特定物債権も、履行不能となれば、窮極において損害賠償債権という金銭債権に変わるものであり、結局のところ債務者の一般財産により担保されなければならない(最判昭和36年7月19日)。

4 誤

責任財産保全という趣旨から詐害行為取消権はあくまでも総債権者の利益のためである(425条)。

5 誤

取消権の行使による影響が大きいので、債権者が取消の原因(=詐害行為)を知った時から2年間行使しなければ時効消滅し、行為の時から20年経過で除斥される(426条)。




前の問題 : 民法 債権 (H17-27)
次の問題 : 民法 債権 (H12-29)

問題一覧 : 民法 債権

WEB練習問題(リニューアル中) > 民法過去問(改正未対応 > 民法 債権 > 民法 債権 (H11-29)