行政法 行政手続法 (H12-13)
行政手続法に定める標準処理期間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 標準処理期間は、行政庁が申請を正式に受理した時点から進行する。
2 標準処理期間は、許認可等について諾否いずれの処分を行う場合であっても、その応答をするまでに通常要すべき標準的な期間とされる。
3 標準処理期間には、申請に対する補正指導の期間は含まれず、その間は標準処理期間の進行は停止するというのが通例の取扱いとされている。
4 標準処理期間には、行政庁が申請に際して行うことがある事前指導の期間は算入されない。
5 標準処理期間は、審査の進行状況や処分の時期の見通しについて申請者から問い合わせがあったときに、行政庁がその回答を準備する期間も含む。
解答 1
(肢1と4)
標準処理期間の定めは努力義務でしたね。そして、申請は到達しなければ、その内容がわからないので、その申請を処理する期間もどれくらいとなるかはわかりません。
ですから、標準処理期間の定める場合は、申請が到達してからその期間を定めて公表すればよいのです。
したがって、標準処理期間の進行は、「申請がその事務所に到達してから」始まり、それゆえ、事前指導の期間は算入されないのです(行政手続法第6条)。よって、肢1が誤りで、肢4は正しいです。
なお、事前指導とは、申請前の行政指導のことをいい、指導により行政の意向に応じた申請書を提出させその後で許認可等の処分をすることになります。
(肢2)
標準処理期間の設定は、申請についての諾否という結論を問わず、処分がでるまでの期間を努力義務として定めるものです。
そして、標準処理期間の設定をする場合、通常、事前に標準処理期間の設定をするはずです。
ですから、そもそも申請内容が許認可されるのか拒否されるのかはわからない状態でなされるので、どういう処分がなされるかの結論を問わないのです。
特に条文にも結論を限定するような記載はありません。よって、正しいです。
(肢3)
上記の通りどういう結論がでるかはわからないが、申請自体は適法であるのが前提で標準処理期間が設定されます。そのため、補正の必要な不適法な申請がされた場合、補正後に適法な申請がなされたと考えるので、その補正期間は標準処理期間に含まれないと考えるのです。
したがって、標準処理期間には、申請に対する補正指導の期間は含まれず、その間は標準処理期間の進行は停止するというのが通例の取扱いとされているのです。よって、正しいです。
(肢5)
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければなりません(行政手続法第9条1項)。
この情報提供についても努力義務でしたね。
もし、回答を準備する期間も含めないと申請者から問い合わせがあれば、行政庁はいくらでも引き延ばしが可能となります。
これでは、標準処理期間を定めても意味のないものとなってしまいます。
例えば、当初2週間の標準処理期間であったのに、回答準備期間と称して別途1か月くらい引き伸ばしされてしまうと、標準処理期間を定めた意味がないですし、申請者も困りますね。
ですから、申請者から問い合わせに対して回答を準備する期間も標準処理期間に含まれるのです。よって、正しいです。以上より、1が誤りで正解肢です。