民法 物権 (H20-29)
A・Bが不動産取引を行ったところ、その後に、Cがこの不動産についてBと新たな取引関係に入った。この場合のCの立場に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。
1 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合に、Cは善意であれば登記を備えなくても保護される。
2 AからBに不動産の売却が行われた後に、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消したにもかかわらず、Bがこの不動産をCに転売してしまった場合に、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されない。
3 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Cは善意であれば登記を備えなくても保護される。
4 AからBに不動産の売却が行われたが、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Bから解除後にその不動産を買い受けたCは、善意であっても登記を備えなければ保護されない。
5 AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、A・Bの取引がA・Bにより合意解除された場合に、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されない。
解答 3
1 正
取消前の第三者Cには登記は不要であり、善意であれば保護される(96条3項)。
2 正
取消後の第三者との関係は登記によって画一的に処理されるので(177条)、Cは善意であっても登記がなければならない。
3 誤
解除前の第三者は、善意・悪意を問わず、対抗要件としての登記が必要であるので、Cは登記がなければ善意であっても保護されない。
4 正
解除後の第三者との関係は登記によって画一的に処理されるので(177条)、Cは善意であっても登記がなければならない。
5 正
合意解除前の第三の場合も解除前の第三者の場合と同様に善意・悪意を問わず、対抗要件としての登記が必要であるので、Cは登記がなければ善意であっても保護されない。