行政法 行政手続法 (H24-12)
行政手続法における意見公募手続に関する定めについての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 意見公募手続の対象となる命令等は、外部に対して法的拘束力を有するものに限られるから、行政処分の基準は含まれるが、行政指導の指針は含まれない。
2 意見公募手続における意見提出期間について、やむを得ない理由により、同法が定める期間を下回ることとされる場合には、その理由を明らかにしなければならない。
3 意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、その公布と同時期に、その題名や公示日とともに、提出された意見のうち、同一の意見が法定された数を超えたものについて、その意見を考慮した結果を公示しなければならない。
4 意見公募手続を実施して一般の意見を公募した以上、命令等を制定しないことは許されず、命令等を制定して、提出された意見等を公示しなければならない。
5 意見公募手続を実施した結果、提出された意見が法定された数に満たない場合には、緊急に命令等を定める必要がある場合を除き、再度の意見公募手続を実施しなければならない。
解答 2
肢1 誤
命令等とは、法律に基づく命令又は規則、審査基準、処分基準、行政指導指針です(2条8号ニ)。
命令には、法律に基づく命令(政令、省令)があり、規則には、地方公共団体の執行機関(長や委員会等)の制定する規則が含まれます。
審査基準、処分基準、行政指導指針は、命令「等」に含まれます。
肢2 正
第40条の通り。
第40条
1 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、三十日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、前条第三項の規定にかかわらず、三十日を下回る意見提出期間を定めることができる。この場合においては、当該命令等の案の公示の際その理由を明らかにしなければならない。
肢3 誤
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、命令等の題名、命令等の案の公示の日、提出意見、提出意見を考慮した結果及びその理由を公示しなければならないとされています(第43条1項各号)。
命令等の公示日や意見の有無の公示などの結果の公示がなされて初めて命令制定過程の透明性の確保ができるからです。
したがって、提出された意見を全て公示する必要があり、提出された意見のうち、同一の意見が法定された数を超えたものの場合のみ結果の公示が必要となるわけではありません。
肢4 誤
行政機関が命令等(政令、省令など)を制定する際に、その制定過程を情報として国民に事前開示することで、行政の意思決定過程の公正の確保と透明性の向上を図り、それによって得た国民等の多様な意見等を考慮して意思決定を行うことが必要です。
そのため、行政機関が命令等(政令、省令など)を制定する際には、原則として意見公募手続が必要なのです。
この意見公募手続で提出された意見を十分に考慮すべきとされているので(42条)、意見公募手続で命令等の制定に反対の意見が多ければ、命令等を制定しないことも行政の判断として許されるのです。
なお、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないことにした場合であっても、結果等を公示しなければ命令制定過程の透明性の確保ができません(43条4項)。
肢5 誤
提出意見の法定数という制限はなく、再度の実施という規定もありません。