行政法 地方自治法 (H24-22)
地方自治法およびその内容に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア 地方自治法の廃止は、日本国憲法の定めるところにより、住民投票を経て行わなければならない。
イ 地方自治法は、その目的として、「地方公共団体の健全な発達を保障すること」をあげている。
ウ 地方自治法は、「地方自治の本旨」の内容につき、それが「住民自治」と「団体自治」とを意味すると規定している。
エ 地方自治法には、地方財政法や地方公務員法等に優先して適用されるとの規定があり、地方自治の基本法としての位置づけが明確にされている。
オ 現行の地方自治法は、第二次世界大戦前の(旧)地方自治法を抜本的に改正して制定されたものである。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ
解答 4
肢1 誤
日本国憲法の定めるところにより、住民投票を経て行わなければならないのは、地方自治特別法でしたね(95条)。
憲法第95条
「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」
地方自治法も法律なので、一般の法律と同様に国会つまり両議院の議決(第59条)で制定、廃止されます。
肢2 正
条文の通りです。
地方自治法第1条
「この法律は、地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。」
(目的)
①地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図ること
②地方公共団体の健全な発達を保障すること
肢3 誤
肢2の目的にもあるとおり、「地方自治の本旨に基づいて」としか規定されていません。もっとも、この地方自治の本旨とは、憲法で勉強したとおり、住民自治と団体自治ですが、これは解釈によって導かれているものであって、条文に規定されているものではありません。
肢4 誤
地方自治法が地方財政法や地方公務員法等に優先して適用されるとの規定はなく三者とも別個独立の法律です。
肢5 誤
地方自治法は、日本国憲法によって第8章に地方自治の章が設けられたことからできた法律であり、第二次大戦前の大日本国憲法制定時にはまだ地方自治という考え方が定まっておらず規定されていませんでした。