行政法 行政手続法 (H26-13)
行政手続法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 行政手続法の行政指導に関する規定は、地方公共団体の機関がする行政指導については、それが国の法令の執行に関わるものであっても適用されず、国の機関がする行政指導のみに適用される。
2 地方公共団体の機関が命令等を定める行為について、行政手続法の意見公募手続に関する規定は適用されないが、地方公共団体の機関がする処分については、その根拠となる規定が条例に定められているものであっても、同法の処分手続に関する規定が適用される。
3 申請に対する処分であっても、処分をするか否かに行政庁の裁量が認められないと考えられる処分については、行政庁が審査をする余地がないため、届出の手続に関する規定が適用される。
4 行政庁が不利益処分をしようとする場合、処分の名あて人となるべき者でなくても、当該処分について法律上の利益を有する者に対しては、弁明の機会の付与の手続に関する規定が適用される。
5 行政手続法の規定が適用除外される事項は、同法に定められているので、個別の法律により適用除外とされるものはなく、個別の法律に同法と異なる定めがあっても同法の規定が優先して適用される。
解答 1
テキストP147~、157~
肢1 正 肢2 誤
3条3項
・・・地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。
行政手続法は、法律ですから全国一律に適用されるものですが、地方行政にもそのままあてはまるものではありません。
なぜなら、地方自治は、そこで生活をしている住民の意思に基づいてなされるのが適切だからです。食文化などの違いがあるように、その地方に根付いているものがあるので、各地方の住民の意思が全く一致するわけではありません。
ですから、その地方にあった行政手続きのやり方が必要とされるのです。このように多種多様な地方の独自性に委ねるために、行政手続法の適用が除外されているのです。
行政指導については、そもそも弾力的な行政運営をするために法律の根拠を必要としていないものでしたね。
地方公共団体の機関が命令等を定める行為についても適用除外となっています。
肢3 誤
2条7号 届出
行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。
定義にあるように、届出とは、申請以外の行政庁に対し一定の事項の通知をする行為です。
例えば、産業廃棄物処理施設設置届等があります。
行政手続法上の届出には、定義にあるように、法令により直接に当該通知が義務付けられているものです。
肢4 誤
(聴聞に関する手続の準用)
第31条
第十五条第三項及び第十六条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。この場合において、第十五条第三項中「第一項」とあるのは「第三十条」と、「同項第三号及び第四号」とあるのは「同条第三号」と、第十六条第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十条」と、「同条第三項後段」とあるのは「第三十一条において準用する第十五条第三項後段」と読み替えるものとする。
弁明手続も、当事者の反論の機会である点で聴聞と共通するので、いくつかの条文が準用されています。
住所不明の場合の到達擬制(15条3項)と代理人の選任(16条)についてです。
それ以外の規定は、準用されていないので、準用されていないところがよく過去問でも問われています。
本問のように法律上の利益を有する者に対しては、聴聞手続はできますが(17条1項)、弁明の機会の付与の手続に関する規定が適用されてはいないのです。
第17条
1 第十九条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第二項第六号において「関係人」という。)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。
肢5 誤
行政手続法の適用範囲であっても、特別法があれば、特別法の方が優先されます(1条2項)。
(1条2項)
処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。