行政法 行政不服審査法 (H26-15)
行政不服審査法に基づく審査請求の教示義務に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 行政庁は、審査請求をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間および審査請求書を書面で教示しなければならない。
イ 処分庁が誤って審査請求すべき行政庁でない行政庁を教示し、当該行政庁に審査請求書が提出された場合、当該行政庁は処分庁または本来の審査請求すべき行政庁に審査請求書を送付しなければならない。
ウ 処分庁は、処分の相手方以外の利害関係者から当該処分が審査請求のできる処分であるか否かについて教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。
エ 処分庁が審査請求書に記載すべき事項を誤って教示し、それに沿った審査請求書が提出されたときは、審査請求を受けた行政庁は、審査請求をした者に期限を定めて補正を求めなければならない。
1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
解答 3
テキストP226~233
肢ア 誤
第82条
1 行政庁は、審査請求をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。
教示自体は、行政庁が行います。
教示の内容は、主体=不服申立の相手である行政庁、客体=不服申立てが可能な処分であること、時期=不服申立てをすることができる期間です。
したがって、審査請求書に記載すべき事項については教示義務はありません。
肢イ 正 肢エ 誤
第22条
1 審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすべき行政庁でない行政庁を審査請求をすべき行政庁として教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、速やかに、審査請求書を処分庁又は審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
5 審査請求書が審査庁となるべき行政庁に送付されたときは、初めから審査庁となるべき行政庁に審査請求がされたものとみなす。
例えば、本来の審査庁ではない審査庁を教示された場合でも、その教示された審査庁に適式の審査請求をすれば、当該行政庁は、すみやかに、審査請求書の正本及び副本を処分庁又は審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならず、本来の審査庁に対して初めから適法な審査請求がなされたものとみなされるのです。
肢ウ 正
行政庁には、利害関係人の請求による教示義務がある(82条2項)。
教示を求めた利害関係人が書面による教示を求めた場合、書面で教示しなければならない(82条3項)。教示は行政サービスの一つであるため、利害関係人の求めに適切に応じる必要があるからである。