民法 物権 (H27-29)
甲土地を所有するAとその隣地の乙土地を所有するBとの間の相隣関係に関する記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、次の各場合において、別段の慣習は存在しないものとする。
1 Aは、境界線から1メートル未満の距離*において乙土地を見通すことができる窓または縁側(ベランダも含む)を設けることができるが、その場合には、目隠しを付さなければならない。
2 甲土地に所在するAの竹木の枝が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、自らその枝を切除することができる。
3 甲土地に所在するAの竹木の根が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、その根を切除することはできず、Aにその根を切除させなければならない。
4 AおよびBが甲土地および乙土地を所有する前から甲土地と乙土地の境界に設けられていた障壁は、AとBの共有に属するものと推定されるが、その保存の費用は、A・B間に別段の約定がない限り、AとBが、甲土地と乙土地の面積の割合に応じて負担する。
5 甲土地内のAの建物の屋根から雨水が直接に乙土地に注がれる場合に、Bは、その雨水が注がれることを受忍しなければならない。
(注)* その距離は、窓または縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
解答 1
少し細かい問題ですので間違えても気にしなくてもよい問題です。
ただ、過去問(H6-28-5、S63-35-2)などから肢2と3は確実に誤りであると判断していただきたかったところです。
テキストP308~312
肢1 正
第235条
1 境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
2 前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
肢2 誤 肢3 誤
(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第233条
1 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
233条については、複数回過去問で出題されています(H6-28-5、S63-35-2)。
隣地の境界を越えた枝を自由に切ることはできないですが、根を自由に切ることはできます。
肢4 誤
(囲障の設置及び保存の費用)
第226条
前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。
条文の通り、囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担することになります。
肢5 誤
(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)
第218条
土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。
条文の通り、そもそも甲土地内のAの建物の屋根から雨水が直接に乙土地に注がれていること自体禁止されることであり、Bは、その雨水が注がれることを受忍しなければならないわけではありません。