行政法 総論 (H1-42)
次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
1 行政刑罰については、法令に特別の規定がある場合のほかは、原則として刑法総則が適用され、裁判所において刑事訴訟法の定める手続きにより科される。
2 行政刑罰は、執行罰と同様に、同一事実に対し目的を達するまで繰り返し科することができる。
3 行政罰のうち秩序罰としての過料を科するためには、法律の根拠を必要としない。
4 地方自治法に定める過料は、非訟事件手続法の定めるところにより、地方裁判所において科される。
5 行政刑罰においては、実際の行為者のほかに法人をも併せて処罰する両罰規定は、認められない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ
解答 1
1 正
行政刑罰も刑罰である以上、原則として刑法総則が適用され、裁判所において刑事訴訟法の定める手続きにより科される。
2 誤
行政刑罰は、刑罰であるから二重処罰禁止の原則が適用され(憲法第39条後段)、同一事実に対し繰り返し科することはできない。
3 誤
行政罰のうち秩序罰としての過料を科するためには、罪刑法定主義の下、法律の根拠を必要とする。
4 誤
秩序罰による過料は刑罰ではないため、刑事訴訟法の適用は受けないことになる。
そのため、過料の根拠規定が国の法令である場合は、裁判所が非訟事件手続法の定めるところによる。
また、過料の根拠規定が地方自治体の条例・規則である場合には、地方自治法に基づいて当該自治体の長の行政処分によって科すことになる。
5 誤
行政刑罰においては両罰規定が適用される。
両罰規定とは、法人の代表者などの違反行為者のみならず、その法人や使用者、事業主等にも適用があり、罰せられる規定である。