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憲法 人権 (H12-3)


次の記述のうち、「自由とその制約」についての考え方が他と違うものはどれか。


1  賭博をするのは本来幸福を追求する行為だが、勤労の美風を害し経済秩序を乱すので、賭博は処罰されるべきである。

2  シートベルトを締めないのも本来は自由だが、交通事故による死傷者を確実に減らせるよう、着用を義務づけるべきである。

3  他人のものを盗みたいからといって、もとより他人のものを盗む自由があるわけではなく、窃盗行為は処罰されるべきである。

4  行政書士になりたいからといって、直ちにその業務ができるわけではなく、法律に定められた資格者だけが行政書士になれる。

5  お酒を造るのも本来は自由だが、国の重要な収入源である酒税を確実に徴収できるよう、無免許の酒造行為は処罰されるべきである。



解答 3 


この問題は皆さんなら瞬間的に解けるはずです。

まず、出題形式は一肢選択問題です。問題文から一つだけ考え方が違うものがあるということですから方向性の問題です。

そして、問われているのは「自由とその制約」についてですから、自由と制約は表裏一体ということを思い出していただければそれで正解がでます。「自由と制約は表裏一体」が出題意図です。

 具体的には、自由と制約の両方が含まれているかどうかをチェックすればいいのです。

肢1

自由=賭博をする自由 制約=処罰

肢2

自由=シートベルトを締めない自由 

制約=着用義務

肢3

自由=盗む自由はない 制約=処罰

肢4

自由=行政書士になる自由(職業選択の自由)

制約=法律

肢5

自由=お酒を造る自由 制約=処罰

これらの肢のうち、自由と制約の両方が含まれていないのは盗む自由はないとする3だけですね。

自由がなく制約だけがあるというのは明らかに「自由と制約は表裏一体」という出題意図に反して、他の肢と方向性が異なりますね。

ですから、解答は3になるのです。このように単純に考えて解ける問題なのです。

ちなみに、肢5は前回勉強したお酒を造る自由の判例を基礎とした問題でしょう。

なお、このような方向性を問う問題は一つだけ方向性の異なる仲間はずれを探せばよいので、内容の正しさを必要以上に検討する必要はありません。

例えば、シートベルトを締めない自由は人権として保障されているのかどうかをじっくり考えて解く必要はないのです。自由と制約の両方が含まれているかどうか、ただそれだけを聞いている問題なのです。「自由と制約は表裏一体」ということをわかっているかどうかを聞いている問題だということを理解しましょう。




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