商法・会社法 (H13-33)
Aは、その営業の地域を拡大するのに、支店を設け、商業使用人を用いるか、土地の事情に通じた代理商を用いるかについて検討した。次の検討結果のうち、誤っているものはどれか。
1 商業使用人を用いる場合は自然人でなければならないが、代理商を用いる場合は法人でもよい。
2 商業使用人はAに従属しその商業上の業務を対外的に補助するが、代理商はAから独立しAの企業組織の外部にあって補助することになる。
3 Aとの契約関係は、商業使用人の場合は雇用契約であり、代理商の場合は委任または準委任契約になる。
4 取引に関する代理権は、商業使用人の場合は制限したり授与しないこともできるが、代理商の場合は必ず授与しなければならない。
5 商業使用人のうちの支配人も、代理商も、Aの許諾のない限り、Aの営業に属する取引を自己または第三者のために行うことはできない。
解答 4
1 正
商業使用人とは、雇用契約によって特定の商人に従属し、業務を対外的に補助する者で、自然人に限られる(商法第20条以下)。代理商とは、委任又は準委任契約によって、特定の商人の取引を代理または媒介をする独立した商人であるから、自然人でも法人でもかまわない(商法27条以下)。
2 正
その通り。肢1参照。
3 正
その通り。肢1参照。
4 誤
代理商には、本人と第三者との取引を媒介するに過ぎない媒介代理商もあり、これには代理権は与えられない。
5 正
支配人及び代理商はいずれも、競業避止義務が課されており、商人の許諾がなければ、自己または第三者のために商人の営業に属する取引をしてはならない(商法第23条1項2号、同法28条1項1号)。