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行政法 情報公開法 (H14-8)


情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)が定める「情報公開審査会」に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。


1 情報公開審査会は、総務省に置かれる。

2 情報公開審査会は単なる諮問機関ではなく、自ら開示・不開示の決定をなす権限を有する機関である。

3 情報公開審査会には、いわゆるインカメラ審理の権限は認められていない。

4 情報公開審査会の委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

5 情報公開審査会は、全国に8つの支部(地方支分部局)を有している。



解答 4 


(肢2) 誤

情報公開審査会に関する問題です。情報公開法に基づく情報開示・不開示(一部開示)決定に不服がある場合、これらの情報開示決定等も処分なので、行政不服審査法に基づく不服申立や行政事件訴訟法に基づく訴え提起をすることができます。

不服申立前置の規定がないので、不服申立にするか訴訟にするかは自由選択主義です。

もっとも、情報公開制度においては、通常の行政不服審査法にはない特色があるのです。

情報開示決定等に対して、不服申立てした場合、情報公開審査会に対して、諮問をし、答申を得た上で、審査庁(処分庁)が裁決(決定)をする必要があります(情報公開法18条)。

これはどの情報をどの程度開示するか否かは、個人のプライバシーなどとも関わってその判断が難しいのです。

また、情報公開の扱いが省庁ごとにバラバラにならないように運用の統一性を図る必要もあります。

そのため、その情報を保有している処分庁や審査庁の判断のみでは適切ではなく、第三者機関である情報公開審査会の判断も考慮に入れる方がより適切なのです。

ですから、通常の不服申立にはない情報公開審査会に対する諮問・答申が必要とされているのです。

もっとも、行政不服審査法に基づく不服申立であることには変わらないので最終的に判断するのは、あくまでも処分庁や審査庁です。

それゆえ、情報公開審査会の判断には法的拘束力はなく、あくまでも行政に意見する諮問機関にすぎないのです。

よって、肢2は誤りです。

この肢が最も重要ですので、最低限度ここだけは押えるようにしてください。

残りの肢は、情報公開審査会についての少し細かい知識かもしれませんが、念のため押えておきましょう。


(肢1) 誤

情報公開審査会は、内閣府に置かれています(情報公開・個人情報保護審査会設置法第2条)。


(肢3) 誤

例えば、審査請求における審理が非公開であっても、審理手続において、事実や証拠などはその場で立ちあっている当事者には開示されるのでわかります。

しかし、情報開示決定等の不服申立において、開示していい情報なのかどうかを審理するのに当事者の前で対象となる文書を開示するわけにはいきません。

当事者にも秘密のまま審理する必要があるのです。このような場合に利用されるのがインカメラ審理です。

インカメラ審理とは、情報公開審査会が、必要がある場合に、諮問してきた審査庁(処分庁)に対し、不服申立てのあった決定に係る公文書を提示させ、審査会委員のみが実際に当該公文書を見分して審議することをいいます。

これにより、開示不開示の判断が違法・不当でないかなどについて秘密漏洩を防止しつつ適正・迅速に判断することが可能となります。

ですから、情報公開審査会には、インカメラ審理の権限が認められているのです(情報公開・個人情報保護審査会設置法第9条)。 よって、誤りです。

なお、民事訴訟においても、特許などの侵害訴訟においては、裁判所のみが証拠をみて判断することができるインカメラ手続があります。


(肢4) 正

情報公開審査会が内閣府に設置されていることからもわかるとおり、情報公開審査会の委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命します(情報公開・個人情報保護審査会設置法第4条1号 )。よって、正しいです。


(肢5) 誤

情報公開審査会は、内閣府に置かれているだけで、地方支分部局はありません。

 よって、誤りです。


 以上より、肢4が正しく、正解肢となります。

 本問では、情報開示決定等の不服申立には、情報公開審査会が諮問機関として関与し、その答申には法的拘束力がないということをしっかり押えましょう。




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