商法・会社法 (H15-33)
商行為または商人の行為に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 宅地建物取引業者が買主の委託を受けて不動産売買の仲介を行い、契約を成立させた場合、売主の委託を受けず、売主のためにする意思を有してしなかったときでも、売主・買主双方に対して報酬を請求することができる。
2 商行為である賃貸借契約によって生じた債務の不履行を理由とする損害賠償債務は、商行為によって生じた債務ではないから、その遅延損害金の利率は民事法定利率である年5分となる。
3 商行為である金銭消費貸借契約に基づいて支払われた利息制限法の制限を超える利息についての不当利得返還請求権は、民事債権として10年の消滅時効にかかる。
4 貸金業者が顧客に生活資金を貸し付ける場合、利息の特約がなくても当然に利息付きとなる。
5 商人が平常取引をなす者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたのに対し、遅滞なく諾否の通知をしなかったときは、申込みを拒絶したものとみなされる。
解答 3
1 誤
宅地建物取引業者は民事仲立人なので商法第550条は適用されず、また、売主のためにする意思を有していない場合、商法第512条も適用されないため報酬は売主に請求できない。
2 誤
商行為である契約によって生じた債務の不履行を理由とする損害賠償債務は、商法第514条が適用され当該遅延損害金の利率は商事法定利率である年6分となる。
3 正
「利息制限法所定の制限をこえて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権は、法律の規定によって発生する債権であり、しかも、商事取引関係の迅速な解決のため短期消滅時効を定めた立法趣旨からみて、商行為によって生じた債権に準ずるものと解することもできないから、その消滅時効の期間は民事上の一般債権として民法一六七条一項により一〇年と解するのが相当である。」(最判昭55年1月24日)
4 誤
商人間において金銭の消費貸借をしたときは、貸主は、法定利息を請求することができる(商法第513条1項)。
5 誤
商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければ契約の申込みを承諾したものとみなされる(商法第509条)。