商法・会社法 (H16-32)
商号に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 個人商人が複数の営業を営む場合には、その営業ごとに複数の商号を使用することができるが、会社は1個の商号しか使用することができない。
2 不正の目的をもって他人の営業と誤認させる商号を使用する者がある場合に、これによって利益を害されるおそれがある者は、自らの商号について登記がなくても、その使用の差止を請求することができる。
3 商号の譲渡は、商号と営業をともに譲渡する場合、または営業を廃止する場合に限り、これを行うことができる。
4 営業譲渡において譲受人が譲渡人の商号を続用する場合は、譲渡人の営業によって生じた債務については、譲受人は常に譲渡人と連帯してその弁済をしなければならない。
5 自己の氏、氏名または商号を使用して営業を行うことを他人に許諾した者は、自己を営業主と誤認して取引を行った者に対して、当該取引から生ずる債務についてその他人と連帯して弁済しなければならない。
解答 4
1 正
商人は複数の営業を営む場合は営業ごとに異なる商号を用いることができる。これに対して、会社は商号を1個しか用いることができない。
2 正
「何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(商法第12条1項、2項)。」
登記は特に要件とはされていない。
3 正
「商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる(商法第15条1項)。」
4 誤
譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、原則として譲受人にも債務弁済の責任が生じる(商法第17条1項)。もっとも、遅滞なく譲渡人の債務責任を負わない旨の登記をした場合又は遅滞なく第三者に対しその旨の通知をした場合は免責される(商法第17条2項)。
5 正
「自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う(商法第14条)。」