基礎法学 (H19-2)
法格言に関する次のア~オの記述のうち、[A]~[E]に当てはまる語句として、最も適切な組合せはどれか。
ア 法実証主義の考え方によれば、「[A]もまた法である。」が、自然法思想によれば、「[A]は法ではない。」ことになる。
イ 時効の制度は、「[B]の上に眠る者は、保護されない。」という法格言から説明することもできる。
ウ 「[C]は証拠の女王である。」という法格言があるが、刑事訴訟において、[C]が被告人に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とすることはできない。
エ 事実の不知は許されるが、[D]の不知は許されない。」という法格言があるが、責任主義の観点から、この法格言がそのまま通用する訳ではない。
オ 「[E]は遵守されなければならない。」という法格言は、[E]の拘束力の根拠とされることがある。
A B C D E
1 道徳 法 物証 倫理 法
2 悪法 権利 自白 常識 慣習
3 道徳 権利 物証 倫理 契約
4 悪法 権利 自白 法 契約
5 倫理 法 証言 法 慣習
解答 4
まず、この問題を正解するには、2つ空欄補充ができればいいですね。
例えば、BとDまたはDとEがわかるか、あるいはA、Cのうちどちらか一つとD、Eのうちどちらか一つわかれば、正解自体は出てしまいます。
この問題自体は特に解説するまでもなく、4が正解ですね。
この問題自体は内容も簡単ですので、わかる空欄から埋めて肢を切っていけばいいのですが、正解したからといって同じ問題がでるわけではありません。
こういう簡単な問題を復習する際には、もし、どの空欄も迷うような問題だったら何を意識して問題を攻略しよう?というところまで復習しておくと将来の出題への対処にもなります。
未知の問題や迷う問題に出会ったときに、ある程度解き方の順序を決めておくことはとても大事な戦略です。
そうすると、混乱することもないですし、時間のロスもできるかぎり防ぐことが出来ます。
本問を利用して実際にみていきましょう。
まずはそれぞれの空欄の選択肢の数が何種類あるかという①形式的な基準で解く順番を決定します。
そうすると、問題2を例とすると、Bが二種類しかないので二択=正解率50%ですね。
A: 道徳 悪法 倫理
B: 法 権利
C: 物証 自白 証言
D: 倫理 常識 法
E: 法 契約 慣習
まず、このBを空欄にしているイから解いていくというのが正解率との関係ではよさそうです。
ただ、二択でも内容が難問だったら、これでも迷いますね。
次は、内容で判断するしかないですが、どの順番で解きますか?
大事なことは、自分の持っている知識を最大限活かすということです。
そうすると、今まで勉強してきた②試験科目に関係するものから解くというのが確実ですね。
本問を例とすると、イは問題文の「時効」、オは解答肢の「契約・慣習」から、すぐに民法に関連する問題だとわかります。
ウは刑事訴訟と書かれていますが…どこかで見たことありませんか?
そう、憲法ですよね。 憲法38条3項を参照してください。
この規定が刑事訴訟法319条2項で具体化されているのです。
なお、憲法31条~39条までの人身の自由を具体化した法律が刑事訴訟法で、応用憲法とも呼ばれています。
これで試験科目に関係するものがイウオの3題ありましたから、これらの空欄を埋めれば正解できます。
全部わからなくても、ウ(C)とオ(E)がわかれば、正解できますね。
この①②の順番で解いてみてもなお内容的に難しくて判断がつかない場合に初めて③常識や国語力で解くといいでしょう。
常識や国語力というのは個々人でまちまちですから、事前に準備することはなかなかできないです。
それに最初から常識や国語力で解くと感覚的なものに頼りがちになってしまい、うっかりミスすることがあるので、最後の手段としてとっておきましょう。
おそらく同種の出題形式の問題は、②までで解けるはずです。
このように、同種の出題形式の問題がでたら、
①選択肢から形式的に解く、
②試験科目に関係するものから解く、
③常識や国語力で解く、
という解法順序を決めておけば、どんな内容の問題が出てもあわてることはないので参考にしてみてください。