行政法 行政不服審査法 (H20-15改題)
行政不服審査法(以下、「法」という。)に規定する不服申立ての対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 「処分」には、「人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの」などの事実行為が含まれるが、これは取消訴訟の対象にはならないが不服申立ての対象となる。
2 法における「不作為」には、申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないとの理由で、実質的審査を経ずに拒否処分がなされた場合も含まれる。
3 法は、地方公共団体の機関が条例に基づいてする処分を適用除外としているため、そのような処分については別途条例で不服申立制度を設けなければならない。
4 法は、不服申立制度全般について統一的、整合的に規律することを目的とするので、別に個別の法令で特別な不服申立制度を規定することはできない。
5 不服申立てをすることができない処分については、法が列挙しているほか、他の法律において特定の処分につき不服申立てをすることができない旨を規定することができる。
解答 5
テキストP163~170
1 誤
行政不服審査法においても、行政事件訴訟法においても、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するものなどの事実行為が行政行為に準じる措置であるとして「処分」に含まれると解されている。
なお、平成26年行政不服審査法の改正前は、「公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの」も処分に含まれると規定されていましたが、改正後は削除されています。
事実上の行為の内容が継続的性質を有しないのであれば、不服申立ての利益を欠き申立てはできないので、あえて明文化する必要はないという趣旨です。
2 誤
実質が伴っていなくても拒否「処分」である以上、処分であって不作為には含まれない。
3 誤
地方公共団体の機関が条例に基づいてする処分も適用除外ではなく、対象となる(7条)。
4 誤
行政不服審査法は、行政上の不服申し立ての一般法であるが、別に個別の法令で特別な不服申立制度を規定することもできる(「他の法律に特別の定めがある場合を除くほか」1条2項)。
5 正
不服申立てをすることができない処分については、法が適用除外として列挙しているほか(7条)、他の法律において特定の処分につき不服申立てをすることができない旨を規定することができる(8条)。