民法 身分法(H20-35)
養子縁組に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。
ア 配偶者のある者が成年者を養子とする場合には、原則として配偶者の同意を得なければならないが、配偶者がその意思を表示することができない場合には、その同意を得ないで縁組をすることができる。
イ 配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、原則として配偶者と共に縁組をしなければならないが、配偶者の嫡出である子を養子とする場合には、単独で縁組をすることができる。
ウ 配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、原則として配偶者と共に縁組をしなければならないが、配偶者もまた未成年者である場合には、単独で縁組をすることができる。
エ 真実の親子関係がない親から嫡出である子として出生の届出がされている場合には、その出生の届出は無効であるが、その子が成年に達した後はその出生の届出を養子縁組の届出とみなすことができる。
オ 真実の親子関係がない戸籍上の親が15歳未満の子について代諾による養子縁組をした場合には、その代諾による縁組は一種の無権代理によるものであるから、その子は、15歳に達した後はその縁組を追認することができる。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・オ
4 ウ・エ
5 エ・オ
解答 4
ア 正
配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない(796条)。
イ 正
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない(795条)。
ウ 誤
配偶者が未成年者であっても、婚姻によって成年に達したものとみなされるため(成年擬制753条)、イと同様に原則どおり配偶者とともにしなければならない(795条)。
エ 誤
養子縁組は法律上効力を有する要式行為であるから、真実の親子関係がない親から嫡出である子として出生の届出がされている場合は、その出生の届出は無効であり、養子縁組としての効果もない(最判昭和25年12月28日)。
オ 正
真実の父母ではない者による代諾養子縁組は、一種の無権代理によるものであるから、その子は、養子が満15歳に達した後、これを有効に追認することができる(最判昭和27年10月3日)。