行政法 地方自治法 (H22-23)
「住民」にかかわる地方自治法の規定に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア 都道府県知事の被選挙権は、当該都道府県の住民ではなくとも、法定の年齢以上の日本国籍を有する者であれば認められる。
イ 地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する住民の中から市町村長によって選任される。
ウ 都道府県は、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を整備しておかなければならない。
エ 市町村議会の議員が住所を移したため被選挙権を失っても、その住所が同一都道府県の区域内に在るときは、そのために失職することはない。
オ 町村におかれる町村総会を構成するのは、当該町村の住民のうち選挙権を有する者である。
1.一つ
2.二つ
3.三つ
4.四つ
5.五つ
解答 2
ア 正
日本国民で年齢満三十年以上のものは、別に法律(公職選挙法)の定めるところにより、都道府県知事の被選挙権を有する(地方自治法第19条2項、公職選挙法第10条4号)。
イ 正
地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、市町村長が選任する(地方自治法第202条の5第2項)。
ウ 誤
市町村は、別に法律の定めるところにより(住民基本台帳法)、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない(地方自治法第13条の2)。
したがって、住民たる地位に関する正確な記録を整備しておかなければならないのは、都道府県ではなく市町村である。
エ 誤
普通地方公共団体の議会の議員の被選挙権は、普通地方公共団体の議会の議員の選挙権を有する者(日本国民たる年齢満二十年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者)で年齢満二十五年以上の者である。
そして、普通地方公共団体の議会の議員が被選挙権を有しない者であるときは、その職を失う(第127条1項)。
都道府県の議会の議員は、住所を移したため被選挙権を失つても、その住所が同一都道府県の区域内に在るときは、そのためにその職を失うことはない(2項)。
これに対して、市町村議会の議員については、上記の定めはないため、市町村議会の議員が住所を当該市町村外に移して被選挙権を失うと、失職する。
オ 正
普通地方公共団体には、住民で選挙された議員の集合体である議会が置かれる(89条)。
そのため、原則として、条例は議会の決議を経て制定される。
もっとも、住民自治からすると、できるだけその住民の意思が地方政治に反映された方がいいので、町村のように住民の規模が小さい場合は、わざわざ代表者を定めなくても、有権者全員で話し合って決めたほうが、より住民意思が地方政治に反映される。
したがって、町村においては、条例によって、選挙権者による議会に代わる総会の設置も認められている(94条)。