商法・会社法 (H22-37)
取締役会設置会社であって公開会社である株式会社の取締役会の権限に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 会社が企業提携のために、特定の第三者に対して、募集株式を時価発行する場合には、取締役会の決定で足りる。
2 会社が資本金を増加するために、剰余金を減少させる場合には、取締役会の決定で足りる。
3 会社が取締役のために、当該取締役の住宅ローンの保証人となる場合には、取締役会の決定を要する。
4 会社が事業拡大のために、銀行から多額の融資を受ける場合には、取締役会の決定を要する。
5 会社が事業の見直しのために、支店を統廃合する場合には、取締役会の決定を要する。
解答 2
1 正
公開会社における募集株式の普通発行は取締役会の決議事項である(第201条1項)。
したがって、取締役会の決定で足りる。
2 誤
第450条
1 株式会社は、剰余金の額を減少して、資本金の額を増加することができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する剰余金の額
二 資本金の額の増加がその効力を生ずる日
2 前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3 正
本問のような利益相反取引(間接取引)をする際には、取締役会設置会社の場合は、当該取引につき重要な事実を開示し、事前に取締役会の承認が必要である(第356条1項3号、365条)。
4 正 5 正
取締役会の業務執行のうち、取締役に委任できず、取締役会が決議しなければならない事項が7種類規定されている。会社の財産的基礎や経営にとって重要な事項なので取締役の単独の判断に任せられないからである(第362条4項2号、4号)。
②多額の借財
④支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止