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商法・会社法 (H22-40)


陸上の物品運送に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。


ア 運送人は、荷送人の請求があるときには、運送状および貨物引換証を作成して、荷送人に交付しなければならない。

イ 貨物引換証により運送品を受け取ることを得べき者に貨物引換証を引き渡したときには、その引渡しは、運送品の上に行使する権利の取得について、運送品の引渡しと同一の効力を有する。

ウ 運送品の全部または一部が滅失した場合において、それが不可抗力によるものであるときには、運送人は、運送賃の全額を請求することができる。

エ 運送人は、自己もしくは運送取扱人またはその使用人その他運送のために使用した者が運送品の受取り、引渡し、保管および運送に関して注意を怠らなかったことを証明するのでなければ、運送品の滅失、毀損または延着について、損害賠償の責任を免れない。

オ 貨幣、有価証券その他の高価品の運送については、荷送人が運送を委託するにあたって高価品の種類および価額を明告した場合でなければ、運送人は、運送品の滅失、毀損または延着について損害賠償の責任を負わない。


1 ア・ウ

2 ア・エ

3 イ・エ

4 イ・オ

5 ウ・オ



解答 1


ア 誤

荷送人は、運送人の請求により運送状を交付しなければならない(商法第570条1項)。

運送人は荷送人の請求により貨物引換証を交付しなければならない(商法第571条1項)。

なお、荷送人とは、荷物の発送を依頼する人であり、運送人とは、荷物を運ぶ人である。

したがって、運送人は荷送人の請求により貨物引換証を交付しなければならないが、運送状を作成して、交付するのは、荷送人である。


イ 正

貨物引換証とは、有価証券の一種であり、陸上物品の運送契約において、運送人が運送品を受け取ったことを証明し、この運送品を証券の所持人に引き渡すことを約束したものである。

貨物引換証を所持していれば、本来の貨物受取人でなくても貨物の引き渡しを受けることができるので、貨物とほぼ同等の価値を持つものといえる。

したがって、貨物引換証により運送品を受け取ることができる者に貨物引換証を引渡したとき、その引渡しには運送品の占有を移転する効力がある(商法第575条)。


ウ 誤

運送品の全部又は一部が不可抗力により滅失したときは、運送人はその運送賃を請求することはできず、もし運送人が既にその運送賃の全部又は一部を受け取っているときは、これを返還することを要する(商法第576条1項)。

したがって、運送品の全部又は一部が不可抗力により滅失したときは、運送人はその運送賃を請求することはできない。


エ 正

その通り。運送人は、自己若しくは運送取扱人又はその使用人その他運送のために使用した者が運送品の受取り、引渡し、保管及び運送に関して注意を怠らなかったことを証明するのでなければ、運送品の滅失、段損又は延着について、損害賠償の責任を免れられない(商法第577条)。


オ 正

その通り。場屋営業と同じ趣旨から高価品の特則がある。貨幣、有価証券その他の高価品の運送については、荷送人が運送を委託するにあたり、その種類及び価額を明告したのでなければ、運送人は、損害賠償の責任を負わない(商法第578条)。




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