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行政法 行政不服審査法 (H23-15改題)


次の文章は、行政不服審査法14条1項の規定する「処分があったことを知った日」の解釈が争点となった事案の最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]~[エ]に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

  行政不服審査法18条1項本文の規定する「処分があったことを知った日」というのは、処分がその名あて人に個別に通知される場合には、その者が処分のあったことを[ア]のことをいい、[イ]というだけでは足りない…。しかし、都市計画法における都市計画事業の認可のように、処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には、そのような告知方法が採られている趣旨にかんがみて、上記の「処分があったことを知った日」というのは、[ウ]をいうと解するのが相当である…。以上によれば、前記のとおり、本件認可の告示がされたのは平成8年9月13日であり、被上告人がこれに対する審査請求をしたのは同年12月2日であったというのであるから、被上告人が本件認可を[ア]がいつであるかにかかわりなく、同審査請求は行政不服審査法18条1項本文の期間を[エ]にされたものであることが明らかであり、論旨は理由がある。

(最一小判平成14年10月24日民集56巻8号1903頁以下)


1 [ア]現実に知った日 [イ]処分があったことを知り得た [ウ]告示があった日 [エ]経過した後

2 [ア]知り得た日 [イ]処分が現実にあった [ウ]告示があったことを知った日 [エ]経過する前

3 [ア]現実に知った日 [イ]処分があったことを知り得た [ウ]告示があったことを知った日 [エ]経過する前

4 [ア]現実に知った日 [イ]処分が現実にあった [ウ]告示があった日 [エ]経過する前

5 [ア]知り得た日 [イ]処分が現実にあった [ウ]告示があった日 [エ]経過した後



解答 1  


テキストP186~188


テキストで紹介した判例からの出題ですから、これも的中問題と言えるでしょう。

審査請求は、原則として処分があつたことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内にしなければなりません。

不服申立制度は、簡易迅速に国民の権利・利益を保護するものですが、改正によって利便性の見地から60日から3ヶ月に改正されました。

この「処分や決定があつたことを知った日」とは、判例(最判昭和27年11月20日)では、原則として処分や決定があつたことを現実に知った日のことであるとされています。

もっとも、処分や決定が社会通念上相手方において了知することのできる状態におかれたときは、特段の事由がない限り、これを知ったものと解するとしています。

例えば、判例(最判平成14年10月24日)では、告示などの方法で公示されたときは、特段の事由がない限り告知の日に知ったものと解すべきものとされています。

 以上の判例から、[ア]現実に知った日 [ウ]告示があった日となります。 

 後は、問題文後半の「本件認可の告示がされたのは平成8年9月13日であり、被上告人がこれに対する審査請求をしたのは同年12月2日であったというのであるから」という部分からもわかるとおり、審査請求は期間[エ]経過した後となります。これで解答は1となります。

なお、この判例の知識がなくてもこの問題文の文脈から、[エ]に「経過した後」が入るのはわかるでしょう。

それだけで1と5に絞られ、[ウ]に「告示があった日」が確定します。

[ア]にはこれと反対の意味の語句が入るとわかれば、[ア]には、「現実に知った日」しか入らないので、このように国語的な解法でも正解できます。

判例問題を解くときは、もし知らなかったらどう解けばよいのかを常に意識して復習してみてください。それが本番での見えない力となって自分を助けてくれることになるでしょう。



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