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商法・会社法 (H23-39) 


株式会社における取締役に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


1 委員会設置会社以外の会社の取締役は、当該会社の支配人その他の使用人を兼任することができる。

2 取締役会設置会社の代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も当然には与えられていない。

3 取締役会設置会社以外の会社の取締役は、代表取締役が他に選定されても、業務執行権は当然には消滅しない。

4 業務執行権のない子会社の取締役は、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができる。

5 取締役会決議により特別取締役に選定された取締役は、取締役会決議のうち特定事項の決定にのみ専念し、それ以外の決議事項の決定には加わらない。


解答 5 


1 正

委員会設置会社の取締役は使用人を兼務することはできません(331条3項)。

取締役は取締役会を通じて執行役等の業務執行を監督する立場にあるのでかかる立場の者が執行役の指揮命令を受けるのは、業務執行とその監督を明確に区別しようとする委員会設置会社の趣旨に反するからです。

これに対して、委員会設置会社以外の会社では、委員会設置会社の取締役ほど業務執行とその監督を明確に区別していないので、会社の支配人その他の使用人を兼任することができるのです。


2 正

取締役会設置会社では、原則として、代表取締役が、代表権および業務執行権限を有します(349条4項、363条1項1号)。

したがって、取締役会設置会社の代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も与えられていません。

もっとも、代表取締役以外の取締役であっても、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されれば、業務執行権を有するのです(363条1項2号)。


3 正

取締役会非設置会社の取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社の業務を執行します(348条1項)。取締役会非設置会社では、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。

この場合、代表取締役が、代表権を独占するが(349条1項)、業務執行権は独占しないので、代表取締役を選定した場合であっても、業務執行権は当然には消滅しないのです。


4 正

社外取締役とは、株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいいます(2条15号)。

子会社の取締役であっても業務執行権のないものは、親会社の支配下にないため、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができるのです。


5 誤

特別取締役とは、委員会設置会社を除く、取締役会設置会社において、取締役会の構成員である取締役のうち3人以上を特別取締役としてあらかじめ選定し、重要な財産の処分や多額の借財について決議させることで、それを取締役会の意思決定とする制度です。

他の選任要件として、取締役が6名以上で、そのうち1名以上の社外取締役がいる会社ならば、特別取締役を選定できます。

取締役が大人数である会社ならば、このような特別取締役を選定して、重要な財産の処分等の判断を任せることで、機動的な経営をすることができるのです。

もっとも、特別取締役も取締役会の構成員である取締役である以上、取締役会決議のうち重要な財産の処分や多額の借財などの特定事項の決定以外の決議事項の決定にも参加する場合もあります。


(虚偽表示)

第94条

1相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。

2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。




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