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行政法 国家賠償法 (H24-19) 


以下の文章は、国家賠償法2条1項に言及した最高裁判所判決の一節である。次の記述のうち、この判決の内容と明らかに矛盾するものはどれか。


 「国家賠償法二条一項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいうのであるが、そこにいう安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、ひとり当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によつて一般的に右のような危害を生ぜしめる危険性がある場合のみならず、その営造物が供用目的に沿つて利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、また、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含むものと解すべきである。すなわち、当該営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りにおいてはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、これを超える利用によつて危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、そのような利用に供される限りにおいて右営造物の設置、管理には瑕疵があるというを妨げず、したがつて、右営造物の設置・管理者において、かかる危険性があるにもかかわらず、これにつき特段の措置を講ずることなく、また、適切な制限を加えないままこれを利用に供し、その結果利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、それが右設置・管理者の予測しえない事由によるものでない限り、国家賠償法二条一項の規定による責任を免れることができないと解されるのである。」

(最大判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)


1 営造物の利用により利用者に損害が発生したとしても、それが営造物の設置・管理者の予測しえない事由による場合には、国家賠償法2条1項の責任が認められないことがある。

2 国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵には、営造物を構成する物的施設自体に物理的・外形的な欠陥がある場合も含まれる。

3 営造物の利用により危害を生ぜしめる危険性があり、営造物の設置・管理者が特段の措置を講ずることなくこれを利用に供した場合であっても、利用者又は第三者への損害の発生がなければ国家賠償法2条1項の責任は認められない。

4 営造物の供用によって利用者に対して危害が生じた場合には国家賠償法2条1項の責任が認められる余地があるが、第三者に対して危害が生じた場合には同項の責任が生じる余地はない。

5 営造物の利用により危害を生ぜしめる危険性があり、営造物がそのような利用に供されている場合には、営造物を構成する物的施設自体に物理的な瑕疵がなくても、国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵があるということができる。




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