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行政法 行政手続法 (H25-13)


次の文章は、処分の理由の提示のあり方が問題となった事案に関する、最高裁判所判決の一部である。空欄[ア]~[エ]に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

  行政手続法14条1項本文が、[ア]をする場合に同時にその理由を[イ]に示さなければならないとしているのは、[イ]に直接に義務を課し又はその権利を制限するという[ア]の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を[イ]に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る[ウ]の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。(中略)建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ウ]が定められているところ、本件[ウ]は、[エ]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、しかも、その内容は……多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件[ウ]の適用関係が示されなければ、処分の[イ]において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような[ウ]の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。」

(最三小判平成23年6月7日民集65巻4号2081頁)


  ア        イ     ウ    エ

1申請に対する処分 利害関係人 審査基準 聴聞

2不利益処分     名宛人   審査基準 聴聞

3申請に対する処分 利害関係人 処分基準 意見公募

4不利益処分     利害関係人 処分基準 聴聞

5不利益処分     名宛人   処分基準 意見公募


解答 5  


判例問題ですが、内容は条文知識のみで十分正解できる簡単な問題です。


ア 不利益処分  イ 名宛人

以下の14条1項本文を思い出していただければ、正解できるでしょう。

第14条  

1 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。

また、思い出せなかったとしても、以下の問題文のヒントから空欄を補充できるでしょう。

『直接に義務を課し又はその権利を制限するという[ア]の性質』、『上記懲戒処分』

ウ 処分基準  

『上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ウ]が定められている』という部分からもわかるとおり、不利益処分についての基準は、審査基準ではなく処分基準です(行手法2条8号ハ)。

処分基準とは、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいいます(行手法2条8号ハ)。

エ 意見公募

[エ]には、選択肢から、「聴聞」または「意見公募」のどちらかしか入りません。

『本件[ウ]は、[エ]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、』という部分をヒントにすればわかるでしょう。

処分基準を定める前の手続きですから、不利益処分後の手続きである「聴聞」は入りません。

行政機関が命令等(処分基準など)を制定する際に、その制定過程を情報として国民に事前開示することで、行政の意思決定過程の公正の確保と透明性の向上を図り、それによって得た国民等の多様な意見等を考慮して意思決定を行うことが必要であり、こうした目的で出来た手続きが、意見公募手続です。ですから、[エ]には、「意見公募」が入ることになります。


ア 不利益処分  イ 名宛人

以下の14条1項本文を思い出していただければ、正解できるでしょう。

第14条  

1 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。

また、思い出せなかったとしても、以下の問題文のヒントから空欄を補充できるでしょう。

『直接に義務を課し又はその権利を制限するという[ア]の性質』、『上記懲戒処分』

ウ 処分基準  

『上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ウ]が定められている』という部分からもわかるとおり、不利益処分についての基準は、審査基準ではなく処分基準です(行手法2条8号ハ)。

処分基準とは、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいいます(行手法2条8号ハ)。

エ 意見公募

[エ]には、選択肢から、「聴聞」または「意見公募」のどちらかしか入りません。

『本件[ウ]は、[エ]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、』という部分をヒントにすればわかるでしょう。

処分基準を定める前の手続きですから、不利益処分後の手続きである「聴聞」は入りません。

行政機関が命令等(処分基準など)を制定する際に、その制定過程を情報として国民に事前開示することで、行政の意思決定過程の公正の確保と透明性の向上を図り、それによって得た国民等の多様な意見等を考慮して意思決定を行うことが必要であり、こうした目的で出来た手続きが、意見公募手続です。ですから、[エ]には、「意見公募」が入ることになります。




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