行政法 国家賠償法 (H25-19)
国の損害賠償責任についての国家賠償法と民法の適用関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 公権力の行使に該当しない公務員の活動に起因する国の損害賠償責任については、民法の規定が適用される。
2 公権力の行使に起因する損害の賠償責任については、国家賠償法に規定がない事項に関し、民法の規定が適用される。
3 公の営造物に該当しない国有財産の瑕疵に起因する損害の賠償責任については、民法の規定が適用される。
4 国が占有者である公の営造物の瑕疵に起因する損害の賠償責任については、必要な注意義務を国が尽くした場合の占有者としての免責に関し、民法の規定が適用される。
5 公権力の行使に起因する損害についても、公の営造物の瑕疵に起因する損害についても、損害賠償請求権の消滅時効に関しては、民法の規定が適用される。
解答 4
国家賠償法第4条からの出題です。国家賠償法は、民法の特別法であるということがわかっていれば、消去法で解けます。また、国家の責任は一切免責されないということがわかっていれば、直接正解肢がでます。
第4条
国又は公共団体の損害賠償の責任については、前3条の規定によるの外、民法の規定による。
「前3条の規定」とあるとおり、1条は、公務員の故意、過失による損害賠償、2条は、公の営造物の設置瑕疵による損害、3条は、営造物の設置・管理する者と営造物の設置・管理の費用を負担する者とが異なる場合の損害賠償についての規定です。
これらの規定以外の国又は公共団体の損害賠償責任については、民法の規定によります。そういう意味で、国家賠償法は、民法の特別法だと思ってください。
以上を前提に肢を検討すると、肢4以外は、上記国家賠償法1~3条の適用外の国又は公共団体の損害賠償責任となるので、4条のとおり、民法の規定によりますから、全て正しいです。
肢4は、国等の責任は、無過失責任ですから、「必要な注意義務を国が尽くした場合の占有者としての免責」というのはありません。
したがって、これが誤りであり正解肢となります。
なお、類似問題は、過去問(H21‐19‐2)で出題されています。