行政法 地方自治法 (H25-23)
地方自治法の定める地方公共団体に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 地方公共団体の組合としては、全部事務組合と役場組合が廃止されたため、現在では一部事務組合と広域連合の二つがある。
2 国と地方公共団体間の紛争等を処理する機関としては、自治紛争処理委員が廃止され、代わりに国地方係争処理委員会が設けられている。
3 大都市等に関する特例としては、指定都市、中核市、特例市の三つに関するものが設けられている。
4 条例による事務処理の特例としては、都道府県知事の権限に属する事務の一部を条例に基づき市町村に委ねることが許されている。
5 特別地方公共団体である特別区としては、都に置かれる区のみがあり、固有の法人格を有する。
解答 2
肢1 正
平成23年の改正前は、事務の全部を共同処理するための全部事務組合や執行機関の処理する事務を共同処理するための役場事務組合が法律上はありましたが、実際上40年以上も利用されていなかったことから、改正で、法律上廃止となりました。
したがって、現在は一部事務組合と広域連合の二つとなっています(地方自治法第1条の3第3項、284条1項)。
肢2 誤
国と地方公共団体間の関与をめぐる争いについては、まず総務省に設けられた「国地方係争処理委員会」で解決を図ります。
これに対して、普通地方公共団体相互の間または普通地方公共団体機関相互の間の紛争の調停や、普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与のうち都道府県の機関が行うものに関しては「自治紛争処理委員」による調停、審査手続が定められています(地自法251条以下)。
肢3 正
大都市等に関する特例として普通地方公共団体の市には、市の規模に応じて事務配分を異にしようとする政令指定都市、特例市があります。
肢4 正
(第252条の17の2)
「都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる。この場合においては、当該市町村が処理することとされた事務は、当該市町村の長が管理し及び執行するものとする。」
肢5 正
特別区とは、千代田区、港区などの東京都23区のみを指し、市の規定が適用されるので(283条)、実質的には普通地方公共団体としての性格を有しています。
そのため、都の内部組織ではなく、区そのものが固有の法人格を有し、行政主体としての独立性を有しています。