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行政法 地方自治法 (H25-24) 


住所に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。争いがある場合には、最高裁判所の判例による。


1 日本国民たる年齢満20歳以上の者で引き続き一定期間以上市町村の区域内に住所を有するものは、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

2 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、地方自治法の定めにより、条例の制定又は改廃を請求する権利を有するが、日本国籍を有しない者であっても、そこに住所を有していれば、こうした権利を有する。

3 公職選挙法上の住所とは、各人の生活の本拠、すなわち、その人の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指す。

4 都市公園内に不法に設置されたテントを起居の場所としている場合、テントにおいて日常生活を営んでいる者は、テントの所在地に住所を有するということはできない。

5 地方自治法に基づく住民訴訟は、当該地方公共団体内に住所を有する者のみが提起することができ、訴訟係属中に原告が当該地方公共団体内の住所を失えば、原告適格を失う。


解答 2 


細かい判例も出題されていますが、正解肢は過去問((H19-22-1)でも出題されていますし、基本的な条文知識で解ける問題なので是非とも正解したい問題です。


肢1 正

第18条

日本国民たる年齢満二十年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

選挙権のある者は、日本国民たる年齢満二十年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者とされています。なお、「別に法律の定めるところ」とは、公職選挙法のことです。

肢2 誤

第12条

1 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃を請求する権利を有する。

第74条 

1 普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下本編において「選挙権を有する者」という。)は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。

肢1の18条の規定からも、選挙権を有する者とは、選挙権のある者は、日本国民たる年齢満二十年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者とされています。

これらの選挙権を有する者の総数の50分の1以上の連署によって、直接請求の一つである条例の制定・改廃請求をすることができるのです。

  ですから、日本国民である必要があるのです。

肢3 正

判例(最高裁昭和35年3月22日第3小法廷判決)

「公職選挙法及び地方自治法が住所を選挙権の要件としているのは、一定期間一つの地方公共団体の区域内に住所を持つ者に対し当該地方公共団体の政治に参与する権利を与えるためであって、選挙権の要件としての住所は、その人の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心をもってそのものの住所と解すべきである。」

肢4 正

判例(最判平成20年10月3日)

「都市公園法に違反して、都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし、公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいることなど原審の適法に確定した事実関係の下においては、社会通念上、上記テントの所在地が客観的に生活の本拠としての実体を具備しているものと見ることはできない。」

肢5 正

住民訴訟は、行政の適法性の保障を目的とする客観訴訟であって、その客観訴訟の中で地方公共団体の違法な公金支出などの違法行為の是正を求める民衆訴訟の一つです。

ですから、住民訴訟では個人の権利・利益に関わらず、地方公共団体の違法行為などがあれば、その是正を求めるために住民なら誰でも訴え提起できるのです(242条の2第1項)。

有権者かどうかに関わらず住民ならば地方公共団体の違法行為は是正してもらわないと困るからです。ですから、一人でもできますが、住民でなければなりません。

  したがって、住民であることは住民訴訟の訴訟要件の一つであるため、事実審の口頭弁論終結時までに当該普通地方公共団体から転出した場合には、当事者適格を欠く者の訴えとして不適法となるのです(大阪高判昭和59年1月25日)。





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