商法・会社法 (H25-36)
商法の定める契約に関する次のA~Cの文章の空欄[ア]~[ウ]に当てはまる語句の組合せとして、商法の規定に照らし、正しいものはどれか。
A 商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が[ア]承諾をしなかったときは、その申込みは、効力を失う。
B 商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が[イ]承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、効力を失う。
C 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、遅滞なく契約の申込みに対する諾否の通知を発することを怠ったときは、その商人は当該契約の申込みを[ウ]ものとみなされる。
ア イ ウ
1 直ちに 相当の期間内に 拒絶した
2 相当の期間内に 遅滞なく 拒絶した
3 直ちに 相当の期間内に 承諾した
4 遅滞なく 遅滞なく 拒絶した
5 相当の期間内に 相当の期間内に 承諾した
解答 3
テキストP222~223
民法では、申込と承諾が合致しなければ、契約が成立しないのが原則です。ですから、承諾する義務もなく、承諾しなければ契約は成立しません。
しかし、商人が平常取引、つまり普段から継続的取引のある者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、いつも通り契約がなされることが期待されるので、円滑かつ迅速に商取引がなされるように、遅滞なく契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならないとされています(商法509条1項)。
そのため、この承諾義務に反した場合は、承諾が擬制されてしまうのです(商法509条2項)。このように、民法よりも商取引における契約が成立しやすい方向で規定されているのです。そういう意味で、債権債務となる入り口の関係が民法よりも強化されているといってよいでしょう。したがって、ウには、「承諾」が入ります。
そうすると、消去法で肢3と5が残ります。
イには、必然的に「相当の期間内に」が入ります。残りのアには、「直ちに」または「相当の期間内に」のどちらかが入ります。対話者間の契約なので、即答が求められますからアには、「直ちに」が入り、正解は3となります。