商法・会社法 (H27-36)
運送営業および場屋営業に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
1 運送人は、自己もしくは運送取扱人またはその使用人その他運送のために使用する者が、運送品の受取り、引渡し、保管および運送に関して注意を怠らなかったことを証明するのでなければ、その運送品に生じた損害を賠償する責任を負う。
2 運送品が高価品であるときに、荷送人が運送を委託するにあたり、運送品の種類および価額を明告していなければ、運送人はその運送品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
3 場屋の営業主は、客から寄託を受けた物品について、物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明すれば、その物品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
4 客が特に寄託しない物品であっても、客が場屋内に携帯した物品が場屋の営業主またはその使用する者の不注意によって損害を受けたときは、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負う。
5 場屋の営業主が寄託を受けた物品が高価品であるときは、客がその種類および価額を明告してこれを場屋の営業主に寄託したのでなければ、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
解答 3
過去問(H19-40-3,4,H22-40)とほぼ同じ問題ですので、是非とも正解しなければならない問題でしょう。
テキストP230
肢1 正
運送人は、自己若しくは運送取扱人又はその使用人その他運送のために使用した者が運送品の受取り、引渡し、保管及び運送に関して注意を怠らなかったことを証明するのでなければ、運送品の滅失、段損又は延着について、損害賠償の責任を免れられない(商法第577条)。
肢2 正
場屋営業と同じ趣旨から高価品の特則がある。貨幣、有価証券その他の高価品の運送については、荷送人が運送を委託するにあたり、その種類及び価額を明告したのでなければ、運送人は、損害賠償の責任を負わない(商法第578条)。
肢3 誤
場屋の主人は、寄託物の滅失等について不可抗力によることを証明しない限り、損害賠償の責任を免れることができない(商法第594条1項)。
肢4 正
客が特に寄託せざる物品といえども場屋中に携帯した物品が場屋の主人又はその使用人の不注意によって滅失又は毀損したときは場屋の主人は損害賠償の責任を負う(商法第594条2項)。
肢5 正
貨幣、有価証券その他の高価品については客がその種類及び価額を明告してこれを場屋の主人に寄託しなければその場屋の主人はその物品の滅失又は毀損によって生じた損害を賠償する責任を負わない(商法第595条)。