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憲法 統治 (H27-7) 


財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。


1 国費の支出は国会の議決に基づくことを要するが、国による債務の負担は直ちに支出を伴うものではないので、必ずしも国会の議決に基づく必要はない。

2 予算の提出権は内閣にのみ認められているので、国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。

3 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。

4 予算の公布は、憲法改正・法律・政令・条約の公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。

5 国の歳出の決算は毎年会計検査院の検査を受けなければならないが、収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。


解答 3 


単純な条文知識問題なので、容易に正解できるでしょう。


肢1 誤

第85条 

 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

 本条は、国の支出または債務負担はすべて国会の議決に基づかなければならないとし、憲法83条の財政民主主義を、国費支出の面から具体化しています。

肢2 誤

内閣が作成した予算を国会の議決により修正できるかどうかといった問題です。一般に、減額修正は可能であると考えられています。

そもそも国会は、予算を否決することもできるので一部の否定にあたる減額修正をすることもできると解されています。いわば、大は小を兼ねるということです。

では、増額修正はどうでしょうか。

様々な見解がありますが、一般に増額修正できるという考え方が主流のようです。国会は国権の最高機関であり、財政についてできるだけ幅広く民主的コントロールを及ぼす必要性から、増額修正を認めていると考えられます。

ただし、予算の作成権と提出権は内閣の専権ですから、国会が当初の内閣提出案と同一性を損なうような、大幅な修正をすることはできないとされています。というのも、国会が内閣の予算作成権と提出権を奪うことと等しくなりますから、権力分立との関係で問題になるため、このような大幅な修正はすることができないと考えられているのです。

肢3 正

第87条

1 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

会計年度中に、予算外の国費を支出しなければならないような不測の事態に対処するため、予備費の制度を定めています。

国会の議決に基づいてあらかじめ予備費を設け、内閣の責任で支出することができますが、すべて予備費の支出については、事後に国会の承認を得なければなりません。

肢4 誤

第7条

 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

一  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

二  国会を召集すること。

三  衆議院を解散すること。

四  国会議員の総選挙の施行を公示すること。

五  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

六  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

七  栄典を授与すること。

八  批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

九  外国の大使及び公使を接受すること。

十  儀式を行ふこと。

肢5 誤

第90条 

1 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

国の収入支出に対する国会の事後的な民主的統制として決算制度について規定されています。

事後的であっても予算に示された歳入および歳出が適正に行われているか否かを国会が検討することは、財政民主主義を実効的にするためにも重要な意義を有するのです。

決算とは、一会計年度の国家の現実の収入・支出の実績を示す確定的計算書をいいます。




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