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憲法 人権 (H28-7)


法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。


1  憲法が条例制定権を認める以上、条例の内容をめぐり地域間で差異が生じることは当然に予期されることであるから、一定の行為の規制につき、ある地域でのみ罰則規定が置かれている場合でも、地域差のゆえに違憲ということはできない。

2  選挙制度を政党本位のものにすることも国会の裁量に含まれるので、衆議院選挙において小選挙区選挙と比例代表選挙に重複立候補できる者を、一定要件を満たした政党等に所属するものに限ることは、憲法に違反しない。

3  法定相続分について嫡出性の有無により差異を設ける規定は、相続時の補充的な規定であることを考慮しても、もはや合理性を有するとはいえず、憲法に違反する。

4  尊属に対する殺人を、高度の社会的非難に当たるものとして一般殺人とは区別して類型化し、法律上刑の加重要件とする規定を設けることは、それ自体が不合理な差別として憲法に違反する。

5  父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防止するために、女性にのみ 100 日を超える再婚禁止期間を設けることは、立法目的との関係で合理性を欠き、憲法に違反する。


解答 4


肢1は地方自治のところで勉強したものですし、肢3と肢5は最近改正があったところで民法で勉強したところですが、判例では憲法14条の問題としているので、憲法で出題されたということです。解答肢となる肢4は古典的な問題であり、演習問題11肢4でもほぼ同じ問題を出題しているので容易に正解できたでしょう。肢2はそのまま押さえておいてください。


肢1 正

その通り。

肢2 正

選挙制度については、国会の広い立法裁量に委ねられるので、法律で一定要件を満たした政党等に所属するものに限ることは、憲法に違反しないのです。

肢3 正

その通り。最大決平成25年9月4日からの出題です。

非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号ただし書きの規定を,遅くとも平成13年7月当時には,憲法14条1項の法の下の平等に違反していたものであると判示しています。その理由として,家族共同体の中でも個人の尊重が明確に認識されるようになってきたこと,父母が婚姻関係になかったという子にとって自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されないこと,子を個人として尊重しその権利を保障すべきであるという考え方が確立されてきたことを挙げています。

肢4 誤

尊属殺重罰規定判決

「法律上、刑の加重要件とする規定を設けても、かかる差別的取扱いをもってただちに合理的な根拠を欠くものと断ずることはできず、憲法一四条一項に違反するということもできない。

刑を加重すること自体はただちに違憲であるとはいえず、加重の程度が極端であつて、立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、これを正当化しうべき根拠を見出しえないときは、その差別は著しく不合理なものといわなければならず、かかる規定は憲法一四条一項に違反して無効である。」

このように被害者が尊属であることを犯情のひとつとして法律上、刑の加重要件とする規定を設けること自体は違憲ではなく、加重の程度が極端であり立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、これを正当化しうべき根拠を見出しえないときに14条違反として違憲となることに注意しましょう。

肢5 正

その通り。2015(平成27年)年12月16日に、最高裁判所が「女性の再婚禁止期間は6ヶ月」であることは違憲(憲法違反)だと判断しました。

離婚後に生まれてきた子どもの親が「前の夫の子」か「新しい夫の子」かを判断するには、「女性の再婚禁止期間は100日」で十分という最高裁判決です。この「女性の再婚禁止期間は100日」説の理由としては、現代ではDNA鑑定などの技術も進歩したこともあり、「父親を判断するために女性が6ヶ月も再婚を制限されるのは現代において過剰な制限」という理由からです。






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