憲法 統治 (H29-6)
次の文章の空欄[ ]に当てはまる語句(ア)と、本文末尾で述べられた考え方(イ)(現在でも通説とされる。)との組合せとして、妥当なものはどれか(旧漢字・旧仮名遣い等は適宜修正した。)。
法の形式はその生産方法によって決定せられる。生産者を異にし、生産手続を異にするに従って異る法の形式が生ずる。国家組織は近代に至っていよいよ複雑となって来たから、国法の形式もそれに応じていよいよ多様に分化してきた・・・。
すべて国庫金の支出は必ず予め定められた準則――これを実質的意味の予算または予算表と呼ぼう――にもとづいてなされることを要し、しかもその予定準則の定立には議会の同意を要することは、近代立憲政に通ずる大原則である。諸外国憲法はかくの如き予算表は「[ ]」の形式をとるべきものとなし、予算表の制定をもって「[ ]」の専属的所管に属せしめている。わが国ではこれと異り「[ ]」の外に「予算」という特殊な形式をみとめ、予算表の制定をもって「予算」の専属的所管に属せしめている。(出典 宮澤俊義「憲法講義案」1936年から)
(ア) (イ)
1 法律 予算法形式説
2 法律 予算法律説
3 議決 予算決定説
4 命令 予算行政説
5 議決 予算決算説
解答 1
予算の法的性格についての問題です(テキストP286~)。
通説的な性格をしっていれば正解がでるので是非とも正解したい問題です。
予算の法的性格については、3つの著名な学説がありますが、試験との関係では通説だけ押さえておけばよいと思われます。
予算とは法律と異なる特殊の法形式であると考えるのが通説です。これを予算(国)法形式説といいます。
国会による民主的コントロールをできるだけ及ぼすためには、法律などと同様の国法の一形式である考えます。
しかし、上記の通り、予算は、政府を拘束し直接国民を拘束しないという特徴や、予算先議権、内閣に予算の作成権と提出権などがあるため、法律とは異なります。
そういう意味で、国法の一形式であるものの、法律そのものではないという意味で、法律と異なる特殊の法形式であると考えるのです。
よって、肢1が正解となります。