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行政法 行政手続法 (H18-13)


行政手続法に定める意見公募手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


1 命令等を定めようとする場合において、やむを得ない理由があるときは、その理由を公示した上で、30日を下回る意見提出期間を定めることができる。

2 他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとする場合に、意見公募手続を省略することができる。

3 意見公募手続を実施したが、当該命令等に対して提出された意見(提出意見)が全く存在しなかった場合に、結果を公示するのみで再度の意見公募手続を実施することなく命令等を公布することができる。

4 意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないことにした場合に、結果等を公示せずに手続を終了させることができる。

5 委員会等の議を経て命令を定めようとする場合に、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施していることのみを理由として、自ら意見公募手続を実施せずに命令等を公布することができる。


解答 4  


重要なポイントは、命令制定過程の透明性の確保と国民意見の考慮です。

命令制定過程の情報が開示され、事前にわかっていれば安心ですし、また国民の意見も考慮されるのであれば、国民主権の理念にも合致しますね。

以上を踏まえて個別に肢を見ていきましょう。

原則から例外へという順序で解説するので、肢の順序を入れ替えて説明します。


(原則)


3 正

意見公募手続を実施し、当該命令等に対して提出された意見(提出意見)が全く存在しなかった場合、国民意見の考慮という点を重視するならば、再度の意見公募手続を実施したほうがいいとも思われます。

しかし、何度も出てきていますが、行政には、円滑・迅速な行政サービスを実現する役割もあります。

ですから、一度適切に意見公募手続を実施したならば、当該命令等に対する意見が全く存在しなかった場合であっても、命令制定過程の透明性の確保はできていますし、二重に意見公募手続をするとそれだけ制定手続きが遅れることになるので円滑・迅速な行政サービスの実現を妨げることになります。

また、意見が無いというのも国民の消極的な意見、つまり、当該命令に対してなんら反対していないという意見としてとらえることもできるので、国民意見の考慮もしていることになります。

そうすると、結果の公示があれば、再度の意見公募手続は不要なのです。


4 誤

上記の通り、意見公募手続きの重要なポイントは、命令制定過程の透明性の確保です。

命令等の公示日や意見の有無の公示などの結果の公示がなされて初めて命令制定過程の透明性の確保ができます。

ですから、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないことにした場合であっても、結果等を公示しなければ命令制定過程の透明性の確保ができません(行手法43条参照)。

よって、肢4は誤りで、これが正解肢です

ここまでが意見公募手続きの原則を聞いている肢です。

原則さえ押さえていれば正解がでることがわかります。

以下は、その例外を聞いている肢です。


(例外)

2および5 両方とも正

他の行政機関の場合(39条4項5号)と、委員会等の場合(40条2項)とでは、適用される条文は異なりますが、意見公募手続を省略することができる点で共通していますね。

つまり、ある命令を制定するのに実質的に同一の意見公募手続きがなされるのならば、その手続きを他の行政機関が行っても、委員会等が行っても、命令制定過程の透明性の確保と国民意見の考慮はすでになされています。

ですから、例外的に意見公募手続を省略することができるのです。

よって、肢2、5共に正しいです。


1 正

意見公募手続における意見提出期間は30日以上が原則です(39条3項)。

これは、国民が命令等の案の情報提供を受けて、熟知し意見を形成するのに、最低でもこれくらいの期間は必要であることから定められた目安です。

しかし、行政運営は円滑・迅速な行政サービスを実現する役割から、ある程度社会情勢に合致するように臨機応変に対応しなければならない場合もあります。

39条4項1号ほどの災害時等の緊急性がなくとも、災害を未然に防ぐために早期に命令等を制定する必要もあります。

このような場合は、国民の意見も考慮に入れる必要はもちろんありますが、早期に命令等を制定するほうが国民の利益になる場合もあります。

そのため、30日以上の意見提出期間が不要の場合もあります。

こうした例外的なやむを得ない状況のときは、その理由を公示して透明性を確保するとともに意見提出期間を30日未満としてもよいのです。

よって肢1は正しいです。


以上のように原則と例外にわけて、意見公募手続きの理解を深めてください。




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