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商法・会社法 (H25-38)


会社法上の公開会社(委員会設置会社を除く。)における株主総会の決議に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、株主総会の決議無効確認の訴えにおいて無効原因となるものはどれか。なお、定款に別段の定めはないものとする。


1 株主総会の招集手続が一切なされなかったが、株主が全員出席した総会において、取締役の資格を当該株式会社の株主に限定する旨の定款変更決議がなされた場合

2 代表権のない取締役が取締役会の決議に基づかずに招集した株主総会において、当該事業年度の計算書類を承認する決議がなされた場合

3 取締役の任期を、選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとする株主総会決議がなされた場合

4 株主に代わって株主総会に出席して議決権を代理行使する者を、当該株式会社の株主に限定する旨の定款変更決議がなされた場合

5 特定の株主が保有する株式を当該株式会社が取得することを承認するための株主総会に、当該株主が出席して議決権を行使し決議がなされた場合



解答 1


決議無効の訴えとは、決議の内容が法令に違反することを理由として訴えられるものです。この場合の判決効については決議取消の訴えと同様に対世効となります。

決議取消しの訴えと異なり、決議無効原因は決議の内容自体に法令違反があるなどの重大なものです。

例えば、株主平等原則違反の決議、株主有限責任違反の決議、違法な利益処分案を承認する決議などです。

決議の瑕疵が重大であるため、会社の適正化の要請がより強く働きますから、法的安定性を欠いても、また会社の合理化の要請を後退させてでも、いつでも誰でもどの方法でも決議無効の主張ができるのです。

 以上より、決議内容の法令違反である選択肢をみつければ正解することができるでしょう。


テキストP70~74


肢1 正

(331条2項)

「株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない。」

したがって、本肢のように、公開会社が、取締役の資格を当該株式会社の株主に限定する旨の定款変更決議がなされた場合、決議内容が法331条2項違反となるので決議無効原因となります。

肢2 誤

本肢は、無効原因ではなく、決議不存在の訴えの対象となりうる事由です。

決議不存在の訴えとは、決議が事実上または法律上存在しないような場合をいいます。

例えば、総会を開催した事実や決議をした事実が全くないのに、議事録の作成や登記だけなされているような場合、招集権限のない者によって総会が招集されたような場合、招集通知もれの程度が著しいような場合などがあります。

 本肢は、代表権のない取締役が取締役会の決議に基づかずに株主総会を招集して決議しているので、上記の招集権限のない者によって総会が招集されたような場合に該当し、決議不存在の訴えの対象となりうる事由となります。

肢3 誤

(第332条1項)

「取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。」

したがって、本肢のように、取締役の任期を、選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとする株主総会決議がなされた場合は有効であり、無効原因とはなりません。

肢4 誤

本肢のように、株主総会において議決権を行使する代理人を株主に限る旨の定款の規定は、有効でしょうか。

世の中には悪いことを考える人間もいますから、例えば総会屋などのような会社を困らせる目的をもった人間が代理人になって株主総会に参加すると、株主総会が撹乱されるおそれがあります。

これでは、株主総会で円滑な決議ができず取締役の経営判断にも影響し、会社の合理化の要請にも反するので、これを防いで代理人の資格の制限をする必要があります。

ですから、判例では、定款の規定で議決権を行使する代理人を株主に限っても、会社の利益を保護する趣旨にでた合理的理由による相当程度の制限であって、有効とされているのです。したがって、無効原因となりません。

肢5 誤

本肢は無効原因でないですが、決議取消事由(831条1項3号)に該当する場合があります。本肢の株主は、特別利害関係を有する者、すなわち、株主としての資格を離れた個人的利害関係を有する者です。

したがって、株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされた場合、決議取消事由(831条1項3号)に該当します。






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