WEB練習問題(リニューアル中) > 行政法過去問 > 行政手続法 > 行政法 総論 (H27-11)

行政法 総論 (H27-11)


行政手続法による意見公募手続につき、妥当な記述はどれか。


1 意見公募手続に関する規定は、地方公共団体による命令等の制定については適用されないこととされているが、地方公共団体は、命令等の制定について、公正の確保と透明性の向上を確保するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

2 意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、結果を公示しなければならないが、意見の提出がなかったときは、その旨の公示は必要とされない。

3 意見公募手続においては、広く一般の意見が求められ、何人でも意見を提出することができるが、当該命令等について、特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない。

4 意見公募手続において提出された意見は、当該命令等を定めるに際して十分に考慮されなければならず、考慮されなかった意見については、その理由が意見の提出者に個別に通知される。

5 意見公募手続の対象である命令等には、法律に基づく命令又は規則のほか、審査基準や処分基準など、処分をするかどうかを判断する基準は含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。


解答 1  


全般的に過去問からの出題であり、正解肢は平成26年度でもほぼ類似の問題が出題されていますので是非とも正解したいところです。


テキストP148~


肢1 正  類似過去問(H26-13-2)

『3条3項

第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び…地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。』

このように、命令等の制定行為については、行政手続法上は適用が除外されています。

もっとも、適用除外であっても、国民の権利利益の保護という行政手続法の目的を実現するために、行政運営における公正の確保と透明性が努力義務として規定されているので、以下46条を確認しておいてください。

『(地方公共団体の措置)

第46条

地方公共団体は、第三条第三項において第二章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。』

肢2 誤  類似過去問(H18-13-3、H24-12-3)

命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、命令等の題名、命令等の案の公示の日、提出意見、提出意見を考慮した結果及びその理由を公示しなければならないとされています(1項各号)。

命令等の公示日や意見の有無の公示などの結果の公示がなされて初めて命令制定過程の透明性の確保ができるからです。

なお、提出意見がなかった場合にあっては、その旨も公示しなければなりません。

肢3 誤  類似過去問(H22-11-3)

『第39条1項

命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。』

上記条文の通り、意見公募手続では、広く一般の意見を求めることになっています。意見公募手続は「パブリックコメント手続」ともいわれ、平成17年6月の行政手続法の改正により新設された手続です。

「意見公募」とあるくらいですから、特段の制限はなく、命令等との利害関係などとは関わりなく、何人でも意見を提出できるのです。

肢4 誤  類似過去問(H24-12-3、4)

行政機関が命令等(政令、省令など)を制定する際に、その制定過程を情報として国民に事前開示することで、行政の意思決定過程の公正の確保と透明性の向上を図り、それによって得た国民等の多様な意見等を考慮して意思決定を行うことが必要です。

 そのため、行政機関が命令等(政令、省令など)を制定する際には、原則として意見公募手続が必要なのです。

 この意見公募手続で提出された意見を十分に考慮すべきとされています(42条)。

 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、命令等の題名、命令等の案の公示の日、提出意見、提出意見を考慮した結果及びその理由を公示しなければならないとされています(第43条1項各号)。

 命令等の公示日や意見の有無の公示などの結果の公示がなされて初めて命令制定過程の透明性の確保ができるからです。

 本肢のように、考慮されなかった提出意見につきその理由の個別の通知は必要とされてはいないのです。

肢5 誤 類似過去問(H22-11-1、H24-12-1)

命令等とは、法律に基づく命令又は規則、審査基準、処分基準、行政指導指針です(2条8号)。

審査基準、処分基準、行政指導指針は、命令「等」に含まれます。したがって、意見公募手続の対象となる命令等に、行政指導の基準も含まれます。




前の問題 : 行政法 行政手続法 (H26-13)
次の問題 : 行政法 行政手続法 (H27-12)

問題一覧 : 行政手続法

WEB練習問題(リニューアル中) > 行政法過去問 > 行政手続法 > 行政法 総論 (H27-11)