民法 債権 (H3-29)
債権者代位権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1債権者が債権の履行期前に債権者代位権を行使するには、保存行為の場合を除き、裁判上の代位によらなければならない。
2債権者は、自己の債権を保全するためであれば、債務者の一身に専属する権利であっても債権者代位権を行使することができる。
3債権者が特定物に関する債権を保全するために債権者代位権を行使するには、債務者が無資力であることを要する。
4債務者が既に自ら権利を行使している場合でも、その行使の方法または結果の良否によっては、債権者は債権者代位権を行使することができる。
5債権者代位権は、債権者が債務者の代理人としてその権利を行使するのであって、債権者が自己の名を持って債務者の権利を行使するのではない。
解答 1
債権者代位権に関する問題です。要件と行使に分類して検討するとわかりやすいでしょう。
1 正
要件に関連する問題です。
②被保全債権の履行期が到来していること
債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、 前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない(423条2項)。
2 誤
要件に関連する問題です。
⑤一身専属的な権利でないこと
債務者の一身専属権に対する債権者代位はできない(423条1項)。
3 誤
要件に関連する問題です。
③債務者が原則として無資力であること
被保全債権は原則として金銭債権でなければならない。
しかし、特定債権保全のために債権者代位権を転用することは判例によって認められており、この場合は無資力は要件とならない。
4 誤
要件に関連する問題です。
④債務者が権利を行使していないこと
債務者が権利を行使している場合、債権者代位権を行使することはできない。
債務者の財産管理に対して不当に干渉することになるからである。
5 誤
行使方法に関連する問題です。
代位権の行使は、債務者の代理人ではなく、債権者が自己の名において行使するものです。
つまり、裁判上の代位の場合は、Aが原告として裁判をするということです。