民法 債権(H3-31)
民法上の賃貸借に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 賃貸借の存続期間は、10年を超えることはできない。
2 不動産の賃貸借は、これを登記しても、その後その不動産について物権を取得した者 にはその効力を生じない。
3 当事者が賃貸借の期間を定めないときは、各当事者はいつでも解約の申入れができ、 申入れの意思表示が相手方に到達したときに賃貸借は終了する。
4 賃貸借を解除した場合は、将来に向かってのみその効力を生じるが、当事者の一方に 過失があるときは、これに対する損害賠償請求をすることができる。
5 賃貸人が賃貸物を保存するために必要な行為をしようとする場合、賃借人はこれを拒 むことができる。
解答 4
1 誤
民法上の賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない(604条1項)。
問題文に「民法上の」とあるので借地借家法については考えなくてもよい。
2 誤
不動産賃貸借は登記した場合、その後に不動産の物権を取得した者に対抗できる(605条)。
3 誤
期間の定めのない賃貸借は、いつでも解約の申入れをすることができるが、次に掲げる賃貸借は解約の申し入れの日から、それぞれ定める期間の経過によって終了する(617条)。
①土地の賃貸借 1年
②建物の賃貸借 3ヶ月
③動産及び貸席の賃貸借 1日
したがって、申入れの意思表示が相手方に到達したときに賃貸借が終了するわけではない。
4 正
賃貸借の解除(告知)をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない(620条)。
5 誤
賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は拒むことができない(606条2項)。