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行政法 地方自治法 (H25-22) 


A市においては、地域の生活環境の整備を図るために、繁華街での路上喫煙を禁止し、違反者には最高20万円の罰金もしくは最高5万円の過料のいずれかを科することを定めた条例を制定した。この場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。


1 違反者に科される過料は、行政上の義務履行確保のための執行罰に当たるものであり、義務が履行されるまで複数回科すことができる。

2 本条例に基づく罰金は、行政刑罰に当たるものであり、非訟事件手続法の定めに基づき裁判所がこれを科する。

3 条例の効力は属人的なものであるので、A市の住民以外の者については、たとえA市域内の繁華街で路上喫煙に及んだとしても、本条例に基づき処罰することはできない。

4 条例に懲役刑を科する旨の規定を置くことは許されていないことから、仮に本条例が違反者に対して懲役を科するものであれば、違法無効になる。

5 長の定める規則に罰金を科する旨の規定を置くことは認められていないことから、本条例にかえて長の規則で違反者に罰金を科することは許されない。




解答 5 


条例に関する基本的な問題なので、少なくとも消去法で正解したいところです。


肢1 誤

執行罰とは、非代替的作為義務、不作為義務の強制手続きで、義務違反すると一定額の過料を課して心理的圧力によって履行を確保するものです。

執行罰は、現在は砂防法36条にあるだけで、義務の履行確保に実効性がないために実務上は全く機能していないものです。

また、当事者たる行政庁が義務の履行に対して制裁金を課すよりも、第三者たる裁判所による刑事裁判の罰金手続きでやるほうが公正を確保することができますから、執行罰は事実上廃止されたものと思ってください。

ですから、条例で執行罰を定めることはできないとされています。

なお、本問のような行政上の義務違反行為に対する制裁として科す過料は、秩序罰に当たります。

肢2 誤

行政刑罰とは、刑罰である以上、いわゆる犯罪であり、刑法上の刑罰と同様に刑事訴訟法の手続きを経て課されるものです。

したがって、非訟事件手続法の定めに基づいて科すわけではない。

なお、行政刑罰は、行政上の義務違反を取り締まる目的を持っている点で、刑事罰とは異なっている点に注意しましょう。

肢3 誤

わが国では、いわゆる属地主義が原則的に採用されています(刑法第1条1項など)。平たく言いますと、属地主義というのは、日本国内で起きた問題は、日本国内で解決するという意味です。

国によって、歴史や文化、宗教や政治的思想も全て異なるので、そういうものを背景として成立する法律もまた国によって異なります。ですから、日本の法律は、日本に属している領地=属地でのみ適用されるのです。「郷に入っては郷に従え」という諺がありますが、これも法律の適用において同じ意味だと思います。条例は法律の範囲内で適用されるものですから、条例による罰則についても属地主義が原則となります。

これに対して、領地ではなく、人の国籍に着目して法律を適用するものを属人主義といいます(刑法第3条)。

肢4 誤

地方自治法第14条3項

普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。

法律の範囲内であれば条例によっても刑罰等を定めることができます。この刑罰には懲役も含まれます。


肢5 正

第15条

1 普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる。

2 普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。

長の制定する規則(15条1項)は、原則として、条例とは別の対等なものです。

長も住民から直接選挙されているので、独自に規則制定権を有するのです。この規則を制定するには条例と同様に法律による委任は不要です。

 ただし、上記15条2項にあるとおり、長の規則では、5万円以下の過料を科することはできますが、罰金を科することはできません。

 罰金は、人権侵害の強いものなので、より民主的手続きである議会の条例で定めなければならないからです。




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